『銀河不動産の超越』森博嗣
『銀河不動産の超越』森博嗣 ★★★☆☆
危険を避け、できるだけ頑張らずにすむ道を吟味し、最小の力で人生を歩んできた高橋青年。彼の運命を変えたのは、入社した「銀河不動産」だった。奇妙な「館」、衝撃の連続。究極の森エンターテインメント。
久々の森博嗣さんの作品。だいぶ前に、犀川&萌絵シリーズを途中で読み止めてしまってからは、森さんから遠のいてたんですよね。だって森さんは次々と新刊を出されていて、ついていけなくなっちゃった感があって(^^;;;
本書はノンシリーズです。始まりから終わりまでとてもゆるやかなテンポで書かれていて、のんびりと珈琲でも飲みたくなっちゃう読書でした。主人公の高橋という男性は、常にスローテンポで、おとなしくて、そして疲れています。高橋は、街中とかで、周りを見渡しては、「どうしてみんなこんなにエネルギッシュなんだ?」と不思議に思います。「よく疲れないものだな」と。その感覚、なんとなくというか、かなり分かるんですよね。私自身、本を読む事は疲れないものの、その他の出来事については、かなり疲れます。就職だったり、冠婚葬祭だったり、バイタリティ溢れる友人づきあい‥とか。
この高橋が、なんとか就職できたのは、「銀河不動産」という不動産屋。社長は銀亀社長。この社長は大声で話し、エネルギィ満タンという感じ。もう一人の社員の佐賀さんという女性は、年齢不詳で、ラストまで結構謎にみちています。この銀河不動産に、ある日すごいお金持ちの間宮葉子と名乗る女性が来店するのですが、そこから高橋の人生がゆるやかに変化していきます。葉子さんのプライベート用に紹介したコンクリートで造られた仕切りのない大きな屋敷、そこに高橋が住む事になります。(家賃は格安)。。なんともうらやましい。。もし私があそこに住めたらという妄想が止まりませんでした(笑)。本棚をずらっと並べて~シアタールームみたいなのも作って~とか。 最初はそこにポツンと暮らしているんですが、銀河不動産で知り合った人々のいろんな都合で、小説家の山田さん、芸術家の島田さん、定年退職した池谷さん、その娘の登美子さん、ミュージシャンの熊崎さんと丹波さんが住むようになるのです。
後半の展開は、御伽噺のような、幻想小説のような感じでした。いくつか「??」と思う点はあるのですが、とにかく幸せな気分に浸れます。これもひとつの「館」もののお話しですよね。人は死なないので、ミステリーではないと思いますが。やはり、私は森博嗣さんの作品がなんだかんだ言っても好きなんだな、と再認識させられた作品でした。
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