『ラス・マンチャス通信』平山瑞穂
『ラス・マンチャス通信』平山瑞穂 ★★★★★(満点!)
今年15冊目。
僕は常に正しく行動している。姉を犯そうとした「アレ」は始末されるべきだし、頭の足りない無礼なヤンキーが不幸になるのは当然だ。僕のせいではない。でも、なぜか人は僕を遠巻きにする。薄気味悪い虫を見るように―。カフカ+マルケス+?=正体不明の肌触りが、鈴木光司氏の絶賛を浴びた異形の成長小説。第16回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
平山作品は、これで二作目です。私にとっての初平山作品は、『忘れないと誓った僕がいた』という作品。それは、爽やかな恋愛青春者だったので、デビュー作の、今作品を読み始めて、かなりびっくりしました。この、なんともいえないヌメヌメとした、ぶにゅっとした気持ち悪さったら!!だけど、このなんともいえない不気味さが面白く、どんどん読み進める事が出来ました。
現実のようで、架空のお話。不思議な言葉や生物が沢山登場します。家の中を這いずり回り、姉を犯そうとする「アレ」。「アレ」の遊び道具となっている腐臭を放つ「陸魚」。息子を愛しているようで、そうではない感じの両親。最後までつきまとう、両親が嫌っている知り合いの小鳩さん。「アレ」を殺してしまった為に、「施設」に入る主人公。その施設も、刑務所なのかそうでないのかよくわからない設定になっています。施設を出た後、働き始めたレストラン。そこでの、がらの悪い人たちに対する主人公の態度が面白くて、吹き出してしまいました。まさかあんな事をするとは!そしてクビになるとは。主人公は、いたって真面目なのですが、何か間抜けで、いつもドジをしてしまうんですね。
「ラ・マンチャ」とは、スペイン語で「汚れ」とか「染み」という意味。それを複数形にして、「ラス・マンチャス」なんですね。呪われた一族という所でしょうか。
レストランをクビになった後、遠く離れた灰が降り止まない町にある、「株式会社イナガワ」という会社で主人公は働く事になるんですが、ここでも謎はいっぱい。排気口につまった灰の塊を「ごっちゃり」といい、それを取り除くには、「てっぱ」が必要なのです。リアルにありそうな名前というのが、またツボで、読んでいてニヤっとしてしまいそうになります。「次の奴」という、とっても怖い生物も登場します。
稲河と主人公と由紀子の生活の場面では、由紀子が可哀相でたまりませんでした。しかも、由紀子がだんだん壊れていく感じが、ゾッとしたし、稲河という人物の嫌さ加減に辟易しました。ここで主人公は姉と再会するのですが、姉が駆け落ちした相手は、「人間の子供を食べる一族」なんです。それを助け出すことができない力の無い主人公にイライラしました。
最後に主人公は、小鳩先生が住む山荘へと移り住むのですが、そこの生活も奇妙な毎日。一体最後はどうなるんだろう??と思いつつ読んでいたら、最後は、希望がある終わり方で、読後感は意外とすっきりしました。いやー、この作品はかなり私の中ではヒットしました。
+平山瑞穂の既読作品+
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