『桃』姫野カオルコ
『桃』 姫野カオルコ ★★★☆☆
今年14冊目。
傑作恋愛小説『ツ、イ、ラ、ク』の登場人物達が綴る6つのせつない物語。
桃は探偵のように、私の場所にひそんで、むかしを窃視する。彼とひとつになりたかった、そのむかしを__。
私は『ツ、イ、ラ、ク』がすごく衝撃的で、とても大好きな作品で、友達とかにも勧めています。本当に切なくて、リアルでたまらなかった作品でした。この『桃』は、『ツ、イ、ラ、ク』のその後、登場人物だちが大人になってから振り返るというサブストーリーになっています。全体的に濃密さが足りなかったような気はしましたが、やはりとても切なく、ほろ苦い思いで、読んでいきました。6編の短編という構成になっています。
「卒業写真」、「高瀬舟、それから」、「汝、病めるときもすこやかなるときも」、「青痣(しみ)」、「世帯主がたばこを減らそうと考えた夜」、「桃」。
『ツ、イ、ラ、ク』の世界が、まざまざと頭の中によみがえってきました。ああ、そうそう、こんな世界だった、と。あの時、あの人はどうしてあのような行動をとったのか?とか、あの時、本当はこうゆう事を考えていたんだ!!等が「なるほどね~」と、わかります。
桐野、礼ちゃん先生、森本準子、塔仁原、京美、雪乃丞 など等、懐かしい人物が登場します。大人になった彼等彼女等が思い出す中学校時代は、おぼろげで曖昧です。しかし、女子の間では、準子が浮いていたのがよくわかります。他の子とは違う何か。知的で冷静で大人びている準子。だけれど、それだけではない、何かが他の子とは決定的に違うのだと。
『ツ、イ、ラ、ク』を再読したくなる作品でした。
+姫野カオルコの既読作品+
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