『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子
『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子 ★★★★☆
身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…?第21回太宰治賞受賞作。
主人公は市役所に就職が内定している大学生の堀貝佐世、22歳。今は残りの大学の講義とアルバイトをするだけという、なかなか幸せな毎日。ちなみに処女で、その処女という言葉から罵倒の意味しか考えられないので、せめて「不良在庫」とか「ポチョムキン」とか、自虐的で陽気な名前で呼んでもらいたいと思っています。このホリガイさんという、どこにでもいそうな女の子の目線で、残りの大学生活が語らえれていきます。それがまたゆるーい感じで、共感出来ちゃうんですよね。ゼミの飲み会には参加するけど、あまり飲めないから、ひたすら相手の話を肯定しながら食べまくるとか。女の子のグラビアが好きで、部屋の襖にポスターをベタベタ貼っていたり。グラビアの女性っていうのは、どんな格好をしていても、ちゃんとそれが需要と供給にのっとった商品だから、こちらは安心して楽しめるんですよね。河北という同級生の男子の彼女のアスミちゃんが飲み会でべろんべろんに酔ってしまい、なんとなく部屋に泊まらせてしまうとことか、ああ、ホリガイさんという人物らしいな~と感じました。事を穏やかにすませようとする精神ですよね。でも、そのアスミちゃんはちょっと情緒不安定なんです。
初めの方は、ふんふんとのんびり読んでいたんですが、ラスト近くなって、びっくりしました。このお話しって、実はすごく重たいのでは・・と。圧倒的な暴力に虐げられた人々が出てきます。虐待、ネグレクト、自殺、リストカット、レイプ、暴力・・・。どうにも抵抗出来ないような悲惨な事ばかり。のんびりしているホリガイさんから見ても、いい具合に力の抜けている感じのイノギさんも、実は圧倒的な暴力にあってしまった人。だぶだぶの男の子のような服装、伸ばしっ放しに見える髪の毛。どれも身を守るためだったとは。もし自分だったらと考えると、怖くてたまりません。このタイトルの意味が分かった時、本当に心の底から「そうだ!頑張れ!」と大声で叫びたくなりました。
津村さんって、すごいかも。注目です。
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