『中二階』ニコルソン・ベイカー
『中二階』ニコルソン・ベイカー ★★★☆☆
中二階のオフィスに戻る途中のサラリーマンがめぐらす超ミクロ的考察―靴紐はなぜ左右同時期に切れるのか、牛乳容器が瓶からカートンに変わったときの感激、ミシン目の発明者への熱狂的賛辞等々。これまで誰も書かなかったとても愉快ですごーく細かい注付き小説。
とても変わった構成のお話しでした。普通、注釈って、多くても2~3行だと思うんですが、本書に限っては、注釈がすっごく長くて、その注釈がすでに小説みたいじゃないか~という感じなんです。しかもその内容がすっごく細かい。読んでいて「ある!!それある!」の連続でした。いや~、考える事って、住む国が違っても結構同じなんですね。岸本佐知子さんが訳をしているのもすごく納得です。こんな奇妙な物語りを上手に訳されるのは、きっと岸本さんしかいない気がします。岸本さんといえば、今度エッセイを読んでみたいんですよね。面白いと評判なので。この主人公はビルの中二階にあるオフィスで働いていて、そこを出て、また戻ってくるというだけのお話(笑)。その時の主人公の頭の中をめぐるっている物事へのお話です。プラスチックのストローはあまり好きではないけど、首がジャバラ状になっているのだけは、最後まで愛着を捨てる事が出来なかったとか。同じ日に、両方の靴紐が切れるという驚きは、階段の一番上まで登ったのに、まだもう一段あると思い込んで床にはげしく足を打ちつけた時と同じくらいだ、とか。そして、紐のどの部分に毎回力が入って切れてしまったのだろう?とか、こまかーく考えていくんです。細かくて、ちょっと小心者の主人公なんですが、共感する事が多くて、くすくす笑ってしまう部分もありました。こうゆうお話しを書いちゃうってすごいな~。しかも、翻訳までされてるし(笑)。
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