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『愛のゆくえ』リチャード・ブローティガン

『愛のゆくえ』リチャード・ブローティガン ★★★★☆

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた…不器用な男女の風変わりな恋物語。

文学作品を読んだな~という感じ。邦題では「愛のゆくえ」ですが、原題は「The Abortion(堕胎)」だそうです。なるほど、だから後半はずっと堕胎に関するストーリィだったんですね。

不思議な図書館が舞台だと聞いて、ずっと気になっていた作品。最初の一文から惹かれました。主人公は図書館に住んでいるんです。図書館は年中無休で24時間開いています。いろんな人々が大切な想いを綴った本を持ってやってくるので、温かい珈琲やクッキーを出したりして、来館者をリラックスさせたりします。そして、持ってこられた本は、人々が好きな場所に置いていきます。でも、全部は入りきれないので、その後、洞窟に運ばれ、保管されます。

主人公はこの職業をとても大切に誠実にこなしています。そんな主人公の前に本を持って現れたのは、尋常ではない美形の顔をしながら、身体はこのうえなく発達し、周りの人々を混乱に落ちいれてしまう女性・ヴァイダです。このヴァイダと主人公はゆっくりと優しく一緒にいるようになります。そっか、淑女のような可憐な顔と、豊満な身体って、私からするとものすごい憧れなんだけれども普段生活するのには、かなり邪魔なのかもしれませんね。自分に見とれてタクシー運転手が目の前で事故ったりしたらきっと嫌だろうな。そんな容姿を嫌っているヴァイダですが、主人公の前ではのびのびと出来るんですね。それは主人公が持つ雰囲気がおっとりと優しいからかなあ。

全体的にとても奇妙で不思議なお話しでした。村上春樹を思い出してしまうような。。妖しいけれど素敵な文学作品という感じ。

後半は、ヴァイダが妊娠するのだけど、図書館の仕事はお給料が出ないので、主人公にはお金がなく、2人は堕胎をすることに決めて、行動します。堕胎という悲しい事柄なんですが、ほのぼのとしていているんです。ずっと図書館にこもっていた主人公が久しぶりに外出した感覚とか、のんびりゆったりしているんです。こんな素敵な異空間に連れて行ってくれるブローティガン。他の作品も読みたいです。

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