カテゴリー「20 島本理生」の3件の記事

『波打ち際の蛍』島本理生

『波打ち際の蛍』島本理生 ★★★★☆

波打ち際の蛍

川本麻由はかつての恋人によるDVで心に傷を負い、生きることに臆病になっていた。ある日通院先で植村蛍に出会い、次第に惹かれてゆくが…どこまでも不器用で痛く、眼が眩むほどスイートな恋愛小説!!

『ナラタージュ』程の衝撃はなかったものの、島本さんのピュアで透明感のある文章は健在でした。「蛍」とは麻由の彼の名前。2人は相談室の前で出会います。その時も、蛍は文庫本を片手に持っていたり、ある時は喫茶店でこれまた本を読みながら煙草を吸っていたり、部屋には書斎があります。ここまでだと、本好きな女性は「いいなあ」と思うと思います。しかも、DVで傷ついた麻由にとても優しいんです。交際するといっても、麻由の場合、トラウマで相手の身体に触れる事さえ困難なんですね。でも、蛍はくさらず、健気に待ってくれます。・・・・だけどだけど、なんだか蛍という男性のよさがいまいちわかりませんでした。一緒にいると気を使いすぎて疲弊してしまうというか、こちらが情緒不安定になってしまいそうな印象をうけました。

島本さんは、心が傷ついた女性を描くのが上手だと思う。どんな時にどんな感じで恐怖が襲ってくるのか。そして、内面的な傷は外側からは見えないから、麻由の母親のように「そろそろ働くのかとおもった」みたいな焦ってしまうような事を口にしてしまう人々。そんな描写がああ、わかるな~としみじみとしちゃいました。

島本さんの作品って不思議。書いてある内容は、結構悲惨な内容だったりするのに、語り口がすごく穏やかだから、読んでいる間、とても静かな気持ちでいられるんですよね。こうゆう語り方が出来るという理由だけでも、私は島本作品を読み続けるだろうなと思う。プラトニックな関係(トラウマの為にそうならざるをえないという事もありますが)のお話しを読んで、なんだか清潔な心地になりました。

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『CHICAライフ』島本理生

『CHICAライフ』 島本理生 ★★★★☆

CHICAライフ

付き合うのは問題のある年上男(「問題のある男」)ばかり。幽霊が見えるダンサーの母(「幽霊VS.母の話」)を反面教師に、恋愛の相性が完璧な弟(「弟コンプレックス」)を可愛がってみたり、引きこもる“ゲーマー”の彼と同棲(「オタク(?)の生態」)してみたり。まともなのは島本さんだけなのか、それとも…?『ナラタージュ』の切なさはどこに?恋愛小説の名手・島本理生のリアルワールド。

『ナラタージュ』で私の心を鷲掴みにした島本さん。透明で切なくて痛くて・・・。あんなお話しを書く人のエッセイとは??

めっちゃ意外で面白かったです。かなり赤裸々に島本さんの生活が描かれていて、クスクスと笑えました。ものすごい共感しちゃう所とか多かったな。

彼氏に五股されていたり、付き合っていないといきなりしらをきられたり、口論の末に引き出しからメリケンサック(!!)を取り出す男だったり、なんか漫画みたい。メリケンサックって、本物を生で見たことがない。

すごく笑ったのは、島本さんの行動をいちいちエロゲーに例える今の旦那さん。部屋が暗くなってるのにも気づかず、ゲームをなさってたり。。でもこうゆう男の人って浮気の心配とかなさそう(笑)。

エッセイって、普段の作品では分からない作家さんのちょっと自虐的な素顔が垣間見れてすごく楽しい♪

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『リトル・バイ・リトル』島本理生

リトル・バイ・リトル Book リトル・バイ・リトル

著者:島本 理生
販売元:講談社
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『リトル・バイ・リトル』島本理生 ★★★★

あらすじ・・・高校生作家の芥川賞候補作。少しずつ、少しずつ、歩いていこう。楽しいことも悲しいことも、みんな大切な家族の時間とひらかれてゆく青春の息吹。

私は、島本さんの文章が大好きです。サラサラとながれるような、淡々としているような。

『ナラタージュ』(再読の予定)を読んだ時も、「わあ、好き!!」って思いました。

ここに出てくる主人公は、決して恵まれた環境の中にはいません。

母親はシングルマザーだし、妹のユウちゃんとは腹違い。経済的に苦しい、なので

受験を一年ストップし、アルバイトに励みます。

幼いころ、本当の父親から虐待をうけています。

義父との仲も、あまり良いとはいえません。

でも、主人公はそれを嫌悪するのではなくて、ただまっすぐに受け入れて、

少しづつ、少しづつ、前に一歩を踏み出して生活しています。

そんな生活の中で出会ったキックボクシングをしている市倉君。

彼がすごく好青年で好感が持てました。彼のお姉さんも、すっごく明るくて

素敵だった(ちょっとついていけないけど)。

あとがきで、島本さんは「明るい小説にしようと思った」と書いていますが、

明るいか?と聞かれれば、「うーん??」となってしまいます(^^;;;

なにはともあれ、おいしい水をコクコクと飲んでいるみたいな感覚が味わえて

良かったです。

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