『一瞬の風になれ』1巻~3巻 佐藤多佳子
『一瞬の風になれ』全3巻 佐藤多佳子 ★★★★☆
あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。
主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。
全3巻と長いので、時々休憩したり、他の本を読んだりしながら読み終えました。清々しくてとてもピュア。真っ直ぐな青春小説。
スポーツ、しかも陸上といえば、私の中では三浦しをんさんの『風が強く吹いている』がものすごく強烈に胸にやきついているのだけど、それとはまた違った、胸が切なくなるような物語りだったな、という感想。
最初は天才肌の連という少年の物語りかと思ったけど、読んでいくうちに、努力型の新二という少年にぐんぐん惹きつけられた。サッカーで光り輝く兄を持ち、自分もサッカーをやってきたけど、どうしても上手になれない。そんな新二がであったのが、陸上競技だった。そしてその隣には、手の届かない程の走りの才能を持つ、連 がいつも一緒だった。
物語りが新二の高校生という目線で語られるので、すいすいと読み進める事ができた。ああ、学生時代って、こんな事を考えていたな~とか、こんな事にどきどきしたよね、とか、気持ちが若返った感じ。特に、新二と谷口若菜との初恋(?)のエピソードは、もう甘酸っぱい気持ちが次から次へと沸いてきちゃったな。
新二がプレッシャーやG(重力)で上手く走れない時の描写なんか秀逸。読んでいるこちらも息がうまく出来ない感覚になったし、ベストの走りが出来た時には、肺の中が新鮮な空気で満たされる。。そんな読書だった。ものすごい運動音痴の私でも、楽しく読めたのだから、陸上関係者や、遠い昔に部活の経験のある人は、もっと楽しんで読めることは間違いないと思う。
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