『少女七竈と七人の可愛そうな大人』桜庭一樹
『少女七竈と七人の可愛そうな大人』桜庭一樹 ★★★★☆
「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竈は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。だか、可愛そうな大人は彼女を放っておいてくれない。実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈ーーー誰もが七竈に、抱えきれない何かを置いてゆく。そんな中、雪風と七竈の間柄にも変化がーーー雪の旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。
ずっと読んでいたい、そう思える作品でした。この世界観好きだな~。最初の七竈の母親の優奈(外見はいたって地味)の、辻斬りのように男遊びをしたいという、この出だしからして面白い。どうしていきなりそんな風に男遊びをしたいくなったかという本当の理由は、なかなか切なくて、ロマンチックなものなのだけれども。その時に産まれた七竈はすごい美少女。どうしてかというと、いんらんな母親から生まれてきたからです。七竈の美貌は、狭い旭川の町ではめだってしょうがないんですよね。幼馴染みの雪風というこれまた美青年の少年と二人、ひっそりと美しく成長します。この二人の距離感が、とても好きだなと感じました。以心伝心が可能なような関係。七竈の居間に広がる鉄道模型でひっそりとお互いの名前を呼び合う場面がとても静謐で美しいんです。鉄道模型屋に行くとき、二人は異形のかんばせを隠すためにサングラスをかける所とか、二人の静かだけれど愛情に満ちた会話などがとても読んでいて心地よかった。
語り手がいろいろと変わるという設定も面白かったです。ビショップという老犬の目線だったり、雪風の母親の目線だったり(これがまたリアルなんだな)。後は雪風が語り手の章もありました。写真機の望遠レンズを機関銃にたとえてみたり、現実と空想の中をいったりきたり。どうして人々は、あまりにもの美貌を持つ少女を放っておくことができないんでしょうか?近づけば近づくほど、少女は息苦しい思いをするのに・・・。
芸能マネージャーの梅木さんの性別をずっと誤解したまま読んでいました。桜庭さんって、そうゆう性別トリック(?)が上手ですよね。時々、挿絵が挟まれているんですが、これがすごく味わいがあって、物語を引き立てていました。とても美しくて残酷なお話でした。
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