カテゴリー「15 坂木司」の1件の記事

『切れない糸』坂木司

切れない糸 (創元クライム・クラブ)

 『切れない糸』坂木司 ★★★☆☆

今年13冊目。

俺、新井和也。家は商店街によくある町のクリーニング屋さ。新井と洗いをかけた「アライクリーニング店」が屋号。年じゅうアイロンの蒸気に包まれて育った俺は、超寒がりときている。大学卒業をひかえたある日、親父が急死した。就職も決まっていない俺は、しかたなく家業を継ぐことに。おおざっぱな性格の母親、アイロン職人のシゲさん、そして長年パートとして店を盛り立ててくれている松竹梅トリオの松岡さん、竹田さん、梅本さんに助けられ、新たな生活がスタートしたんだ。目下のところクリーニング品の集荷が、俺の主な仕事。毎日、お得意さんの家を訪ねては、衣類を預かってくるというわけ。ところが、あるお得意さんから預かった衣類は。『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』で絶賛をあびた坂木司待望の新シリーズ

にほんブログ村 本ブログへ

引きこもり三部作に続く、坂木さんの作品。坂木さんは追いかけて行きたい作家さんです。しかし今回は、あまりにも登場人物が引きこもりシリーズの坂木と鳥井に似ていました。それでも、読んでいて優しい気持ちになれる作品でした。人が死なない、登場人物が一回で消えないお話しってなかなか良いもんですよね。この坂木さんのスタンスは好きです。

まず、装丁がすごく綺麗。これはタコ糸ですよね。タイトル通り、どんなに遠く離れていたって、心の糸が繋がっていれば良いんです。クリーニング屋さんを舞台にしたのも興味深かったです。薀蓄や知識が沢山入っていて、勉強になったなあという感じ。お徳な気分です。

茂田鉄二さんことシゲさんが個人的にツボでした。頑固な職人さんという雰囲気でとっても素敵。作品の中で、シゲさんの過去が明らかになるんですけど、それもまたなんともドラマッチックというか、素敵なんですよねー。

喫茶店「ローッキー」に住み込みで働いている沢田直之の探偵振りが読んでいて楽しかったな。こんな所から、こんな推理できるんだ!!みたいな。

坂木作品は、読んでいて優しい気持ちになる一方、すごくお腹が減ります。沢田が喫茶店で出してくれる料理や、フレンチトーストや、香りの良い珈琲・・など等。すっごく美味しそうな料理が出てくるんですよね。

主人公の新井和也が、最初は嫌々だったクリーニングの仕事を、だんだんと楽しみながら、プライドを持って仕事に向かっていく過程が気持ちよかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)