『The S.O.U.P.』川端裕人
『The S.O.U.P.』川端裕人 ★★★★★(満点)
「本日、インターネットの経路障害の“公開実験”を演出したのは、我々である。これは全面的な宣戦布告である。史上初のサイバーウォーズは、新たな世界のはじまりを告げる鬨の声となろう」ハッカーの実像を克明に描いたクライシスノベル。
川端裕人さん。初読みです。いやー、めちゃめちゃ面白かったです。昔、サンドラ・ブロック主演の映画『ザ・インターネット』というのを観て、ネットの世界って面白そう、憧れだな~と思っていたので、本書はそういう意味でとても興味深かったです。
パソコンに無知な私でも、ドキドキワクワクしながらネットの世界に入っていけました。主人公の周防巧が「S.O.U.P」というネットゲームの世界を創り上げた基本は、『指輪物語』と『ゲド戦記』。すごく素敵。指輪物語のようなファンタジーの世界をネットで体験出来るなんて。個人的にRPG系のゲームは、ファイナルファンタジーくらいしかやった事がないんですが、あの、現実を忘れさせてくれて、キャラクターを成長させていく所がすごく楽しかったのを憶えています。(ゲームに手をだすと、本を読む時間が少なくなっちゃうんですよね 涙)。巧は基本はマッキントッシュを使っていて、無線ランは遅延が気になるので使っていない という箇所があるんですけど、まさしく納得。私が今無線ランなんですけど、遅くなったりするし、時々途切れちゃったりするんですよね。。もう少し詳しくなったら、もっと自分好みのパソコンにしたいな(いつになる事やら)。
本書を読んで、やっとハッカーとクラッカーの違いが分かりました。ずっとハッカーと呼ばれる人たちが悪い事をしているんだと思っていました(汗)。違うんですね、悪い事をする人がクラッカーで、ハッカーと呼ばれる人は、フリーソフトとか、大衆がより快適にネットを使えるように開発したりしてくれる人なんですね。本書を読むと、なんとなくだけど、ネットの大まかな概念や、ネットの弱点というのが頭にスッと入ってきます。UNIXとか、私には未知の世界だけど、森博嗣の犀川先生がいつも使っているやつですよね?
痛いというか、むしろかわいそうな役どころが梨田統という男の子なんだけど、彼は彼でなんとかネットの世界で一人前として認められたい、仲間に入れてもらいたいという純粋な気持ちだったんだろうな。それが間違った方向に向いちゃっただけで。統君が自分の力を試そうと思ってしたイタズラが、ネットの世界では馬鹿なタブーな事で、嫌がらせの電話までかかってくるんです「ちゅうぼー」と。怖い怖い。
物語りは日本からロスアンジェルスにまで広がります。それが、全然無理な感じがなく、FBIの情報犯罪捜査のシェリルの心情もすごくわかりやすかったです。
石田衣良さんの『アキハバラ@DEEP』をもっと専門的に、より広い視野にした感じ。
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