カテゴリー「14 「か行」その他の作家」の7件の記事

『The S.O.U.P.』川端裕人

『The S.O.U.P.』川端裕人 ★★★★★(満点)

The S.O.U.P.

「本日、インターネットの経路障害の“公開実験”を演出したのは、我々である。これは全面的な宣戦布告である。史上初のサイバーウォーズは、新たな世界のはじまりを告げる鬨の声となろう」ハッカーの実像を克明に描いたクライシスノベル。

川端裕人さん。初読みです。いやー、めちゃめちゃ面白かったです。昔、サンドラ・ブロック主演の映画『ザ・インターネット』というのを観て、ネットの世界って面白そう、憧れだな~と思っていたので、本書はそういう意味でとても興味深かったです。

パソコンに無知な私でも、ドキドキワクワクしながらネットの世界に入っていけました。主人公の周防巧が「S.O.U.P」というネットゲームの世界を創り上げた基本は、『指輪物語』と『ゲド戦記』。すごく素敵。指輪物語のようなファンタジーの世界をネットで体験出来るなんて。個人的にRPG系のゲームは、ファイナルファンタジーくらいしかやった事がないんですが、あの、現実を忘れさせてくれて、キャラクターを成長させていく所がすごく楽しかったのを憶えています。(ゲームに手をだすと、本を読む時間が少なくなっちゃうんですよね 涙)。巧は基本はマッキントッシュを使っていて、無線ランは遅延が気になるので使っていない という箇所があるんですけど、まさしく納得。私が今無線ランなんですけど、遅くなったりするし、時々途切れちゃったりするんですよね。。もう少し詳しくなったら、もっと自分好みのパソコンにしたいな(いつになる事やら)。

本書を読んで、やっとハッカーとクラッカーの違いが分かりました。ずっとハッカーと呼ばれる人たちが悪い事をしているんだと思っていました(汗)。違うんですね、悪い事をする人がクラッカーで、ハッカーと呼ばれる人は、フリーソフトとか、大衆がより快適にネットを使えるように開発したりしてくれる人なんですね。本書を読むと、なんとなくだけど、ネットの大まかな概念や、ネットの弱点というのが頭にスッと入ってきます。UNIXとか、私には未知の世界だけど、森博嗣の犀川先生がいつも使っているやつですよね?

痛いというか、むしろかわいそうな役どころが梨田統という男の子なんだけど、彼は彼でなんとかネットの世界で一人前として認められたい、仲間に入れてもらいたいという純粋な気持ちだったんだろうな。それが間違った方向に向いちゃっただけで。統君が自分の力を試そうと思ってしたイタズラが、ネットの世界では馬鹿なタブーな事で、嫌がらせの電話までかかってくるんです「ちゅうぼー」と。怖い怖い。

物語りは日本からロスアンジェルスにまで広がります。それが、全然無理な感じがなく、FBIの情報犯罪捜査のシェリルの心情もすごくわかりやすかったです。

石田衣良さんの『アキハバラ@DEEP』をもっと専門的に、より広い視野にした感じ。

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『消えてしまいたい ある女子大生の鬱病日記』川上涼子

『消えてしまいたい ある女子大生の鬱病日記』川上涼子 ★★★☆☆

消えてしまいたい―ある女子大生の鬱病日記

主だった理由もなく。誰かを亡くしたわけでもない。何かを失くしたわけでもない。それなのに陥った、鬱。はっきり言ってツライのだ。理由が特に見当たらないから自分に同情もできない。そんな中で、しばしば頭の中で「死にたい」コールが巻き起こる。ごく普通の女子大生を突然おそった心の病い。他人には理解されにくい苦しみを綴った感動の記録。

しゃんと姿勢を正して読まないと、読んでいるこちらも暗闇にひきこまれてしまう感覚。

鬱病の闘病記なんだけど、詩をよく書いてらして、それが心をざわざわとし、ずしーんとくる。

脳の病気だとは理解していても、苦しい気持ちは、しんどいだろうな。

文章の所々に、母親と父親のメモが書いてあって、涙が出そうになった。

ものすごい確立で生をうけたのに、病気のせいで「自殺」を考えてしまうのはあまりにもやるせない。

これだけ医学が進歩してるのに、鬱病に関してはまだまだな印象。

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『リセット』垣谷 美雨

『リセット』 垣谷美雨 ★★★★☆

リセット

現在40代後半の専業主婦とキャリアウーマン、水商売あがりの三人は、それぞれ今の生活に不満を抱えていた。ある日、彼女たちは何者かの手によって高校時代にタイムスリップさせられてしまう。今度こそ理想の人生を!と願う三人の運命は!?考えさせられつつも読んだ後、元気がもらえる作品。

今の生活になんとなく不満を感じている人間がある日、過去に戻って人生をやりなすことになる・・・という小説は古今東西、今までにも結構あると思うけど、本作は、飽きることなく爽快な気分で読み終えることが出来た。

もし、自分が学生時代に戻れるとしたら。。という想像(妄想)はみんなした事があるのではないかと思います。私も、高校生に戻れるとしたら、毎日ジョギングして、丈夫な体を造りたいし、もっと勉強がんばって弁護士とかになってみたいし、もっと沢山本を読む生活をしてみたい!!とか妄想しちゃいます。

47歳の専業主婦・知子。キャリアウーマン・薫。水商売の晴美。この三人が、偶然デパートで出遭い、不思議なレストランで、高校3年生に戻ってしまうのです。

戻るといっても、肉体だけで、心は47歳。そのギャップがすごく可笑しかった。可笑しいというか、爽快感を感じてしまったのは、知子が前の世界で夫だった浩之と、高校3年生として出会うんだけれど、前の世界であったいろんな嫌な事を思い出して、まだ何の罪もない浩之にひどい態度を思わずとってしまう所。なんだか笑ってしまった。

知子は女優になりたい。薫は、キャリアよりも結婚したい。晴美は、お金持ちと結婚したい。という願いを持って第2の人生を生きるんだけど、やはりそれなりにいろんな苦労がつきまとうんですよね。知子と薫の第2の世界での悩みや不満はなんとなく理解できるんだけど、晴美はそうなっちゃたか~という残念な感じ。

最後に3人が出す人生への答えが、とても明るくて、明日も頑張って生きていくぞという気持ちになれた。

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『氷の海のガレオン』木地雅映子

氷の海のガレオン

『氷の海のガレオン』木地雅映子 ★★★☆☆ 今年17冊目。

画像は文庫版だけど、私が手にして読んだのは、ハードカバー版。確か、5年位前に、古本屋さんでジャケ買いした本。表紙が松本太陽の絵なんですよね。一見、児童書っぽいけど、大人も充分楽しめる作品だと思います。

自らを天才と信じて疑わないひとりの娘がありました。斉木杉子。孤独の荒海でたたかう少女を描いた表題作のほかに、「天上の大陸」「薬草使い」を収録。

帯に、「あたし、変わってるのかな。みんながこれがいいって言うもの、あたしはちっともそう思わないの」と、書いてあって、なんだか共感する部分があるなあと感じた。この感覚は、結構みなさん経験あると思います。無い人は、すごーくある意味幸せなのかも。

斉木杉子 11歳 が主人公です。ママは詩人。パパは何をしているのか分かりません。

杉子はいつも本を読んでいます。両親が家を建てる時に、一番に優先した事が、図書室。この設定だけでもかなりワクワクしちゃいます。こんな両親大好き。

杉子も、兄の周防も、五年生のスズキも、学校では浮いた存在です。それは理解できました。杉子の両親は、理想なんだけど、普通のというか一般的な両親とは違うので、やはり育て方も違うからです。すごく遠くから子供を見守っているという感じ。よっぽどの事がないと干渉しない。杉子のクラスでのいじめの様子が描かれているんですが、うわー!!こうゆうのあった!あった!という感じ。幼心に、「どうしてみんなで仲良く出来ないんだろう。。」と密かに思ったりしていました。そんな中、杉子は強いです。

杉子が、音楽の多恵子先生と、意気投合して、仲良しになるんですが、読んでいてとても和みました。多恵子さんは、杉子の悩みを理解してくれます。

書置きを残して急に旅に出てしまう両親。こうゆう子供を信頼して、行動する大人は個人的に好きです。少女というものは、群れて華やかだけど、実は常に孤独と隣り合わせなのだ、と感じました。

「天上の大陸」・・すごく不思議で素敵なお話し。幼い頃、秘密基地を友達と作って、そこでドキドキしながら遊んだのを懐かしく思い出しました。自然っていいな。

「薬草使い」・・薬草が出てきて、少し漢方ちっくなお話し。ここに出てくる少女の悩みは生理がこない=妊娠してたらどうしよう という事。うーん。。女ならではの問題。

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『サンカクカンケイ』小手鞠るい

サンカクカンケイ Book サンカクカンケイ

著者:小手鞠 るい
販売元:世界文化社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『サンカクカンケイ』小手鞠るい ★★★

あらすじ・・・『タッチ』を彷彿とさせる、幼馴染三人の恋。

私は本を読むのが本当に遅い。だけど、この本は4時間くらいで読めました。小手鞠るいさんは、以前に『ふれていたい』を読んだ時も思ったけど、本当にこちらが恥ずかしくなるくらい、真っ直ぐな恋愛小説を書きますよね。

ものすごく、好きで好きでたまらなくて、一秒でも長くそばにいたいと思わせる龍也。客観的に、少し冷静になって考えれば、思いやりのない、自分勝手な龍也なんか好きになったら馬鹿だよ。。と思いますが、恋に夢中になってる時って本当に冷静さを失いますよね。

高校に進学せずに、劇団に入る、そう決めたから、京都に龍也は行くんだ。私も追いかけよう!そう主人公のあーちゃんは思って、本当に京都の大学に進んだのに、実は龍也は、学校時代の教師を追っかけて京都に行っていた。かなりショックですよね。

なんて主人公はつらい恋をしたんだ。大変だったなあ。としみじみ考えていると、そこに幼馴染の男性が現れます。都合がよい登場だなあ、なんて穿ったみかたもしちゃいそうになりますが。。

恋愛って、息つく間もないような、涙ばかり流すような恋愛はやっぱり駄目になっちゃう。穏やかで、笑いが絶えない相手には、本当の自分を受け入れてもらう事ができる。そして、暖かい、余裕のある心で相手を受け入れる事も出来る。そんな感じの事をいいたいのかな?なんて思いました。

さよなら三角 またきて四角 四角は豆腐 豆腐は白い 白いはハンカチ~♪この童話がとても懐かしかったです。

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『ふれていたい』小手鞠るい

ふれていたい

買ったきっかけ:
図書館で装丁があまりにも可愛らしかったので手にとりました♪

感想:
あらすじ・・・初めての彼・宗治との恋愛に戸惑いながらも日々を過ごす可南子。宗治との距離を縮めたいと思う一方で、過去にフィギュアスケートでペアを組んでいたナガルへの想いも心を巡る―。甘く痛く切ない恋を見事に描く、小手鞠るいの至高の純愛小説。
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うーん。いわゆる三角関係のお話しでした。
ナガルのはっきりしない態度にちょっとイライラしました。こうゆう場合、きちんと好きではない と言うべきなんでは。。と私は思ってしまいます。「人と出会う順番」とかなんとか屁理屈言わないで!!なーんて思います。
個人的には宗治みたいな人が大好き!!まさしく日向からやって来た人って感じ。
どうにかなってしまいそうなくらい好き よりも、一緒にいて、自分を好きだと言ってくれて優しくて天真爛漫で、太陽みたいな宗治と居た方が絶対に女の子は幸せになれると思った。 
でも、バリでナガルを探してしまう気持ちもかなり痛いくらいに共感でした。

おすすめポイント:
小手鞠るいさんは 恋愛小説って感じですよね。しっとりと切なく。

ふれていたい

著者:小手鞠 るい

ふれていたい

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『ミミズクと夜の王』紅玉いづき

ミミズクと夜の王 Book ミミズクと夜の王

著者:紅玉 いづき
販売元:メディアワークス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『ミミズクと夜の王』紅玉いづき 電撃文庫 ★★★★★

魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。願いはたった、一つだけ。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。----それは、絶望の果てからはじまる小さな少女の崩壊と再生の物語。第13回電撃小説大賞<大賞>受賞作。

この小説は、私が参加させてもらっている、本を読む人々。というメンバーの中に、このお話の著者さんがいらっしゃる。。なんて事を聞いて、早速読みました。

これが本当に電撃文庫??と疑いたくなる位、衝撃的な作品でした(電撃文庫は好きです。。一応)普通にハードカバーで出ていてもおかしくないほど、人間の感情がよく描写されていたと思います。普段、ファンタジーをあんまり読まない私が、一気に読破してしまいました。

なんだか少しだけどミミズクの気持ちがわかるような気がしました。奴隷として毎日働かされて、疲れて疲れて。人の死ぬ光景にも見慣れてしまって。。「もう、いいやー」と思って魔物の住む森へやってきた気持ち。。跡形もなく食べてもらえるのなら、幸せー。と、そこまで幼い少女を痛めつけた村の人々が信じられなかったですね。

クロちゃんや、魔物の王ことフクロウに見守られて、ミミズクは幸せだったのに。。煉花で赤い色をつけた王が描く絵は素敵だったのに。。ある国の一団は、ミミズクを助けるという名目のもとでフクロウを捕まえてしまいます。読んでいて本当に悲しかった。

終盤は、もうハラハラしっぱなしでした。ミミズクの記憶、アンディとオリエッタの優しさ、クローディアスという友達、捕らわれたフクロウ。。登場人物が本当に心が優しくて、少し涙がでました。ラストは、あれでよかったと思います。無口だけど、心底優しく誠実な魔物の王、フクロウが大好きになりました。

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