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『ささらさや』加納朋子

ささらさや (幻冬舎文庫)

『ささらさや』加納朋子 ★★★★☆ 今年18冊目。

事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された!ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。

なんて優しくて温かい物語りなんでしょう!!こうゆう作品を読むと、加納朋子さんがやっぱり私は好きだな~としみじみ思います。

「トランジット・パッセンジャー」、「羅針盤のない船」、「笹の宿」、「空っぽの箱」、「ダイヤモンドキッズ」、「待っている女」、「ささら さや」、「トワイライト・メッセンジャー」と、8編の連作短編集。

物語のしょっぱなから、さやの旦那さんが事故で亡くなってしまいます。「タタキには、にんにくをたっぷりのっけてくれよ」という言葉を最後に。。さすが加納作品、悲しい中にも、クスリと笑える箇所がいくつもあります。

亡くなった旦那さんは、身体は死んでいるけど、魂はまだ成仏していません。いろんな人にのりうつり、「馬鹿ッさや」と現れます。もうこの、「馬鹿ッさや」というフレーズが、すごく愛がこもっていて、さやの事が心配で心配でたまらないというのが伝わってきて、優しい気持ちになれます。

義理の姉からゆう坊(赤ちゃん)を取られようとして、佐佐良という街にさやはゆう坊を連れて移り住みます。乳飲み子を連れて、いきなり未亡人になってしまうなんて、どんなに心細いことか。昔ながらの大きな乳母車を使うさやが好きです。何代も昔からの物を大切に使う、そうゆうさやがいいなって思います。

人が好い(好すぎる?)さやの周りには、口は悪いけど、本が好きで物知りな久代ばあさん、ふくふくとした体型の優しいお夏ばあさん、好奇心がおおせいなさやのお隣さんの珠代さん。みなさん、とてもあいすべき人たちです。こんな子育てに関して年季の入った人たちに見守られて、さやは幸せだな。

後、子育ての様子がとても詳細で、びっくりしました。私は個人的に嫁いだ姉が妊娠して、里帰りしてきた時に、間近で見て、「なんて大変なんだ 本当に寝る暇がない・・・」と感じました。2時間ごとの授乳、その後の湯冷まし、背中を叩いてゲップをさせる・・等など。小さい身体なのに、高熱を出した時、母親がどれだけ慌てるか、とか、よく描かれているなあ と感心。

そして、読んでいて、そう、最後にはそうなるんだよね。。と、かなり寂しくなりました。だけど、旦那さんが最後ゆう坊に託したマジックはとても素敵です。

濃密な文学を読んだ~という感じではないけれど、心の中が湯たんぽで温められたみたいな感じでした。

+既読作品+

『ガラスの麒麟』加納朋子

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『ガラスの麒麟』加納朋子

ガラスの麒麟 Book ガラスの麒麟

著者:加納 朋子
販売元:講談社
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『ガラスの麒麟』加納朋子 講談社 ★★★★★(満点!)

第48回日本推理作家協会賞受賞。「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」通り魔に襲われた十七歳の女子高生が遺した童話とは…。少女たちの不安定な心をこまやかに描く待望の連作ミステリー。------データベースより。----

私が読んだのは、ハードカバーだったんですけど、画像がなかったので、こちらにしました。ハードカバー版の装丁もすごく素敵なんです。優しい水彩画タッチで麒麟や雨傘が描かれています♪

以前、初加納作品として、『月曜日の水玉模様』(感想は後日)を読んで、加納朋子さんの大ファンになりました!!なので早速図書館でこの作品を借りて読みました。

すっごくよかったです。なんとなくだけど、加納さんの作品は女性向けみたいな感じがします。私も一気に読むことができました。

まず、一人の美しい容姿を持った女子高生が何者かに殺されてしまうシーンから始まります。その子の名前は安藤麻衣子 はやすぎる死に周囲は動揺します。安藤麻衣子の両親はもともと仲が良くなく、別居していたんですが、娘の死をきっかけに離婚してしまいます。

「花沢高校の養護教諭の神野先生が 全編を通して陰の主人公のような存在です。高校という密閉された空間で未来への夢や不安などに心が揺れる毎日を送る少女たちにとって、保健室という場所は、心の休憩所だと思います。神野先生は保健室の先生でもあります。神野先生の頭の回転の良さ、推理力、かっこよかったです。

安藤麻衣子が描いた童話「ガラスの麒麟」。ガラスでできた麒麟、ガラスの草、ガラスの水・・・なんて壊れやすいんでしょう。危うい。だけどびっくりするほど綺麗。

最初に殺されかけた野間直子のパニックは共感できます。「もしあの時警察に通報しておけば・・・」「本当に殺されるのは私だったはず」高校生には重すぎる命題。しかし一人の女の子が警察に行くというのがどんなに勇気がいることか。。

この作品で”一月は行く。二月は逃げる。三月は去る。”というフレーズがすごくお気に入りになりました。一年ってあっという間。

猫たちの脚やお腹がナイフで切られるという事件があるんですが、読むのが辛かったです。最近公園には砂場がないですよね。なので私の実家は姪っ子を遊ばせる為に家の庭に小さな砂場を作っています。みゃーと鳴くから「ミヤ」、可愛い(*^.^*)。

娘を殺された母親の気持ち。。心が壊れてしまいますよね。その視線を受けるある少女。少女は意味がわからない視線におびえます。自分が視線におびえているという事すら気付かないで心は不安定になっていきます。人の視線は時として残酷で冷たい。

神野先生がひきずっている脚。医学的には完治しているのにいぜんとしておもうように動かない脚。人間の心の複雑さがわかります。世界で一番愛する人を亡くしてしまったからか、神野先生というキャラクターには淋しさがついてまわります。安藤麻衣子を殺した犯人がわかった時には、「そっかー!!そういう繋がりだったのかあ(><)」とすごく納得しました。

不安定で危うくて淋しい内容でした。だけどこんな物語を描ける加納さんが私はとても好きです♪


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