『三面記事小説』角田光代
『三面記事小説』角田光代 ★★★★☆
私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした六つの日常のまぼろし。
「愛の巣」「ゆうべの花火」「彼方の城」「永遠の花園」「赤い筆箱」「光の川」が収録されています。
読んでいて、なんだかすごく落ち込みました。角田さんの想像力ってすごい!!どんどん上手になっていっているという印象があります。どれも、本当の事件をヒントにしています。あんなに短い三面記事からこんなお話しを作り上げるなんて。三面記事といえば、本当に明日は我が身という事件ばかり。なさそうでありそうなギリギリの境界。そこから一歩踏み外してしまった人々が記事になってしまうのですね。
印象深かったのは、「永遠の花園」と「赤い筆箱」かな。「永遠の花園」は、思春期時代に持つ潔癖症っぽい感じがありありとイメージできました。抗うつ剤を飲んでいるクラスメートを陰でビョ-キちゃんと呼び、仲間に加えてあげなかったり。少女ならではの毒がちりばめられています。大好きで何でも打ち明けあってきた親友がある日気がつくと急に綺麗になっていて、身体も大人の女性に成長しつつあって、大事な秘密を自分に打ち明けてくれなくなったと知った時。。歪んではいるけれど、親友がそんな風になったのを誰かのせいにしたいという主人公の気持ちはわかりました。だけどやはりまだ子供だから、先生の給食に薬を入れた事はあっという間にばれてしまうんですね。これが大人だったら、永遠に口を閉ざしていたと思う。
「赤い筆箱」も、歪んだ姉妹のお話。姉は進学校に合格した。妹は落ちた。だけど、どう考えても妹の学生生活の方が楽しそう。母親とこれみよがしに話している内容でもそれはわかる。それに、最近姉の自分を無視するようになった。きっと受験に失敗した腹いせなんだ。・・・と、姉は一人悶々と考え続けてしまうんですね。悪い方に悪い方に。私にも姉がいるので、思春期の頃、夜遅くまで彼氏やお友達と楽しそうに遊び歩く姉がすごく遠い存在になっちゃったような気がしてました。なんてゆうか、以前みたいに親にしにくい相談とか出来ないみたいな。私はその時、「へー 楽しそうだねー」としか思わず、そのうちに自分も遊ぶのが楽しくなってそんな事考えもしなくなったのだけど。。これは結末があまりにも哀しい。
人間の心情をこれだけ鮮やかに切り取る事の出来る角田さんに脱帽だな~。
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