カテゴリー「08 角田光代」の3件の記事

『三面記事小説』角田光代

『三面記事小説』角田光代 ★★★★☆

三面記事小説

私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした六つの日常のまぼろし。

「愛の巣」「ゆうべの花火」「彼方の城」「永遠の花園」「赤い筆箱」「光の川」が収録されています。

読んでいて、なんだかすごく落ち込みました。角田さんの想像力ってすごい!!どんどん上手になっていっているという印象があります。どれも、本当の事件をヒントにしています。あんなに短い三面記事からこんなお話しを作り上げるなんて。三面記事といえば、本当に明日は我が身という事件ばかり。なさそうでありそうなギリギリの境界。そこから一歩踏み外してしまった人々が記事になってしまうのですね。

印象深かったのは、「永遠の花園」と「赤い筆箱」かな。「永遠の花園」は、思春期時代に持つ潔癖症っぽい感じがありありとイメージできました。抗うつ剤を飲んでいるクラスメートを陰でビョ-キちゃんと呼び、仲間に加えてあげなかったり。少女ならではの毒がちりばめられています。大好きで何でも打ち明けあってきた親友がある日気がつくと急に綺麗になっていて、身体も大人の女性に成長しつつあって、大事な秘密を自分に打ち明けてくれなくなったと知った時。。歪んではいるけれど、親友がそんな風になったのを誰かのせいにしたいという主人公の気持ちはわかりました。だけどやはりまだ子供だから、先生の給食に薬を入れた事はあっという間にばれてしまうんですね。これが大人だったら、永遠に口を閉ざしていたと思う。

「赤い筆箱」も、歪んだ姉妹のお話。姉は進学校に合格した。妹は落ちた。だけど、どう考えても妹の学生生活の方が楽しそう。母親とこれみよがしに話している内容でもそれはわかる。それに、最近姉の自分を無視するようになった。きっと受験に失敗した腹いせなんだ。・・・と、姉は一人悶々と考え続けてしまうんですね。悪い方に悪い方に。私にも姉がいるので、思春期の頃、夜遅くまで彼氏やお友達と楽しそうに遊び歩く姉がすごく遠い存在になっちゃったような気がしてました。なんてゆうか、以前みたいに親にしにくい相談とか出来ないみたいな。私はその時、「へー 楽しそうだねー」としか思わず、そのうちに自分も遊ぶのが楽しくなってそんな事考えもしなくなったのだけど。。これは結末があまりにも哀しい。

人間の心情をこれだけ鮮やかに切り取る事の出来る角田さんに脱帽だな~。

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『空中庭園』角田光代

空中庭園 Book 空中庭園

著者:角田 光代
販売元:文藝春秋
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『空中庭園』 角田光代 ★★★★

 郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影・・・ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。第3回婦人公論文芸賞受賞。

 こうゆうお話を角田さんが書くと、本当に面白いですよねー。なんてゆうか、外から見たらすごく平凡で幸せそうなのだけれど、一人一人に焦点を当てると奥深い闇 みたいなものが見えてくる みたいな。。まず、でだしの「ホテル野猿であたしはしこまれた」という所を読んで、ああ、これはきっと面白い!と直感しました。各章ずつ、話し手が変わるんですけど、主人公マナや父親、母親、祖母、父親の不倫相手のミーナ、弟 と、それぞれの本音がせきららに語ってあって、息苦しい感じだけど読み応えがありました。この作品は確かDVDにもなってますよね。母親役が小泉今日子さん!ぜひ 今度観てみたいです☆

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『トリップ』 角田光代

トリップ Book トリップ

著者:角田 光代
販売元:光文社
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 『トリップ』 角田光代 ★★★★

 普通の人々が平凡に暮らす東京近郊の街。駆け落ちしそびれた高校生、クスリにはまる日常を送る主婦、パッとしない肉屋に嫁いだ主婦ーーー。何となくそこに暮らし続ける何者でもないそれらの人々がみな、日常とはズレた奥底、秘密を抱えている。 小さな不幸と小さな幸福を抱きしめながら生きる人々を、透明感のある文体で描く珠玉の連作小説。直木賞作家の真骨頂。・・・裏表紙より。

●感想・・・この作品は、よく行くメトロ書店で、「平凡な街に暮らす ふつうの人たちも 誰にも言わない 秘密を抱えている」という帯に惹かれて、衝動買いした本です。いやー、設定は地味なのに、面白かったですね。「空の底」「トリップ」「橋の向こうの墓地」「ビジョン」「きみの名は」「百合と探偵」「秋のひまわり」「カシミール工場」「牛肉逃避行」「サイガイホテル」という構成で、連作、つまりずっとお話がリンクしていて、次のお話に入り込みやすかったです。登場人物たちが、本当にその辺とかに居そうな、平凡で幸せだけれども、いまいち『パッとしない』んですね。そのパッとしなさをこれだけリアルに書ける角田さんはやっぱりすごいなぁと思いました。 私的には、表題作にもなった「トリップ」が一番好きです。特に思わず笑ってしまったのは、夫が食事をする際に、「三角食べ」をするというところ。なんだか きちんと感・まじめ感 が漂っていて、可笑しかったです。

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