カテゴリー「07 「あ行」その他の作家」の8件の記事

『平台がおまちかね』大崎梢

『平台がおまちかね』大崎梢 ★★★★☆

 平台がおまちかね

出版社に勤める新人営業マンが遭遇する心温まるミステリィ。

初・大崎作品でした。図書館に偶然置いてあって、予約なしで読めるなんてラッキーと思い、早速借りてきました。

いやあ、本に関する、まつわるお話って楽しいなあ。タイトルの「平台」も、すごく惹かれる場所。本屋へ足を運ぶ度に、お財布と相談しながら平台に並んだ本を見るのってとても心ウキウキするもの。

ひつじ君こと井辻君(新人営業マン)がであう日常系の謎。血が流れないミステリィって、なんだか平和なほのぼのとした気分になれます。ぜひともこれはシリーズ化してもらいたい。

本にまつわるお仕事内容なので、必然といろんな本のタイトルや作家さんの名前が出てくるのが、楽しい。「ハリポタ」「ダヴィンチ・コード」「斜め屋敷」「スーホの白い馬」(←スーホは、国語の時間に読んで、泣きそうになった記憶がありあます 懐かしい)など等。

ミステリィとしては弱すぎるような気がするので、これは井辻君の成長小説みたいなものだと思おうと思います。ときめきのポップスターの謎は、あまり魅力的じゃなかったかな。その分、いろんな営業さんが考案したポップ内容がずばり良かったので満足。

井辻君の、趣味というか癖も面白かった。そっか、そうゆう風に楽しむ方向もあるんだ。私は不器用だから無理な気がするけど。

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『月読』太田忠司

月読(つくよみ) (本格ミステリ・マスターズ)

『月読』太田忠司 ★★★★☆

月読、それは死者の最期の言葉を聴きとる異能の主。故郷を捨て、月読として生きることを選んだ青年、朔夜一心と、連続婦女暴行魔に従妹を殺され、単身復讐を誓う刑事、河井。ふたりが出会ったとき、運命の歯車は音を立ててまわりはじめる。

本を読む人々。で知った本です。私にとって、初太田作品です。

人が死ぬと、月導が出る。それは、何か形のある物だったり、寒さ、匂いといったものまで。

そして、その月導に残る思念を読み取る事が出来る人を月読(つくよみ)と呼びます。

月待の晩に殺人事件が起こります。もう、この設定だけで、メロメロになりました。なんて素敵なんでしょう!!乙女心をくすぐります。神秘的。

結構分厚い本なんですが、結構さらさらと読むことができました。きっと私好みの世界だったからでしょう。

克己という少年が登場するのですが、自分の生い立ちについていろいろ知ってしまい、心の中はとても複雑です。いくら愛されていても、少年にとっては、「血の繋がり」というのはとても大切なんですね。ちょっとうじうじぎみの克己とは対照的な也寸志という少年。彼はいろんな意味で積極的で、なおかつ大人びた少年です。で、マドンナ的な存在の、香坂炯子という少女が登場するのですが、炯子によって、克己も也寸志も殺人事件に巻き込まれます。炯子は、個人的には好感が持てる少女でした。線の細い体、心の強さとか。反対に、炯子の母親は嫌いです。なんてゆうか、母としてよりも、女を出してしまう女性が苦手です。どんなに魅力的だったとしても。

月読として、咲夜一心という男性が出てくるのですが、名前がこれまた神秘的で素敵です。死んだ人の思念を読むことが出来るなんて、どんな気持ちなんだろう。。

この世界には、携帯電話もパソコンも普及していません。何故かというと、「月導」の解明に莫大なお金をかけた為、科学進歩が遅れたんですね。「月導」に関しての書物も沢山あるし、いろんな名作家、名作詞家たちが、「月導」をモチーフにした楽曲を残しています。うっとりしてしまいます。ラストは、うーん。こんなものかなあという感じ。

とにかく、こうゆう幻想的な世界は大好きです。

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『夜を着る』井上荒野

夜を着る

『夜を着る』井上荒野 ★★★★☆

旦那の尻尾を掴んでやろうぜ──スイミングスクールで知り合った美穂と秋郎は東北へと向かう。男女に微妙な変化をもたらす8つの小さな旅 ---------------

手にしっとりとくるソフトカバー。初井上荒野さん。「アナーキー」「映画的な子供」「ヒッチハイク」「終電は一時七分」「I島の思い出」「夜を着る」「三日前の死」「よそのひとの夏」の8編が収録されています。

堕胎が二回目になるカップルのお話や、親の期待に応えられないし、好きな人からは相手にされない女子高生のお話や、夫の反応を試したくてヒッチハイクし、一人でラブホテルに泊まることになる主婦のお話や、どれもみんな暗め。だけど、妙に心にしっくりくる。登場人物に「うん、その気持ちすごく分かるよ」と話しかけてしまいそうな。

井上荒野氏の台詞にはドキッとさせられるものが多い。中年男が、若い愛人に捨てられるのを、まるで食い終わったハンバーガーの包み紙みたいにポイと捨てられ とか。心にグッとくる。けだるい感じというのかな。でもなんだか生々しくて。みんな必死で居場所を探している、そんな物語りたちだった。

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『ブックストアウォーズ』碧野圭

ブックストア・ウォーズ

『ブックストアウォーズ』碧野圭 ★★★★

今年12冊目。

27歳の亜紀は、大手出版社の編集者と結婚して幸せいっぱい、仕事も楽しくてたまらない。文芸書はもちろん、コミック、ライトノベル、ボーイズラブにも気を配り、売り場改革案や人気漫画家のサイン会など、ユニークな企画を次々打ち出している。ところが、40歳の独身副店長・理子とは、ことごとく衝突続きの日々。その理子が店長に昇進した直後、6ヵ月後に店が閉鎖されると知った二人は。恋愛、失恋、結婚、離婚、たまには嫉妬や喧嘩だってある。ワーキングガールズの世界は、幸せ色のピンクや涙色のブルーで彩られたビックリ箱。この本は、働く女性たちへのリアルな応援歌。

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本を読む人々。で知った作品。これを図書館で発見した時は嬉しかった。本屋さんの物語りって、すごく興味をひかれます。ただ、前半部分が、女の確執というか、ドロドロというか。。まるで中学生のようなやりとり。「○○ちゃんが最初に好きになった△△君を、~~さんが奪った ひどーい」みたいな(汗)。こうゆう場面は苦手です。そりゃ、働いていれば、少しは不満とかは出るとは思うけど、ここまでの悪口を言ったり言われたりする会社は少ないと思います。まあ、フィクションだなって感じです。

個人的には、亜紀の前向きで、溌剌とした性格も好きだし、理子の、慎重で生真面目な性格も好きです。どちらも、素敵だなあって感じました。亜紀が振ったと噂されている三田さん、少しずるいなって思いました。亜紀が、「とめてよ ひきとめてよ」って伝えてるのに、なんだか冷めた態度ですよね。逃げてるっていうか。でも、誰にも迎合せず、真面目に淡々と本屋の仕事をする姿は、素敵でした。

後半の、理子や亜紀を筆頭とした書店を盛り上げていくくだりが読んでいて楽しくて楽しくて仕方なかったです!!理不尽なお客さんに、毅然とした態度で土下座した理子は素敵でした。お客様から意見を求める「サポーター会議」もすごく素敵。季節・イベント事にいろんな特集を組んだりするくだりも、すごく納得でした。本屋はこうでなくっちゃ!なんてワクワクしながら読みました。

この作家さんの、デビュー作、『辞めない理由』が、積読状態になっているので、読んでみようと思います

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『ふじこさん』大島真寿美

ふじこさん   『ふじこさん』大島真寿美 ★★★★

今年、10冊目。

離婚寸前の父と母にはさまれ、何も楽しいことのない毎日を送るリサの前に現れたふじこさんは、乱暴できれいで、あっけらかんとしていて、今まで見たことのない、へんな大人だった…。幻のデビュー作を含む、著者会心の短編集。

本を読む人々。というSNSで知った作家さん。初大島作品でした。うん、素晴らしいと思いました。大人が読んで面白い、子供の視線から描かれた作品って、結構少ないと思います。

「ふじこさん」を読んで、まず思った事は、最近の小学生って、大変だなって事です。学校での勉強・人間関係、塾、習い事、中学受験・・など等。本当に、寝る暇ないですよね。私が小学校の頃は、確かに学校が終わって塾に行って、週に一回のピアノ教室があったけど、ここに登場するリサほどは、忙しくなかったし、「とにかく眠りたい」なんて感覚はなかったと思います。

ふじこさんみたいな女性って素敵です。ちゃんと自立していて、仕事が楽しくって、子供を色眼鏡で見ない女性。ふじこさんと出会って、リサがだんだんと子供らしく、言いたい事を言ったり、やりたい事をしたり、おにぎりをもりもり食べたりする姿は、健康的で微笑ましかったです。私が幼い時、ふじこさん的な女性っていたかな?姪っ子にとって、ふじこさん的な、存在になりたいな なんて思いました。

「夕暮れカメラ」・・高校生の小椋由海は、カメラが趣味。ある時、知らないおばあさんから、遺影に使う写真を撮って欲しいと頼まれるが・・。

この本の中で、一番好きなお話し。もちろん、遺影に使う写真を撮るなんて、よく考えれば悲しいお話しなんだけど、くすくすと笑い所がある、非常にユーモラスな作品でした。ここに出てくるおばあちゃんが最高なんです。痴呆が入っているような行動をしたかと思うと、それはよく観察すれば、演技みたいだったり。それゆえに、誰も言えない事をみんなの前でズバッと言ってみたり。焚き火をして、焼き芋をしようとして、だんだんと火に魅せられたかのように燃やし続けるおばあちゃんの姿には、本当に不謹慎だけど声を出して笑ってしまいました。私は、こんなとってもチャーミングなおばあさんが大好きです。

「春の手品師」・・家庭環境が複雑で、高校を休みがちだったある日、不思議な手品師と出会って、彼の後をついていく事にしたが・・。

個人的に、手品って大好きです。タネがあるとか考えずにただただ楽しむのが好きです。ここに出てくる少女も、「ふじこさん」や「夕暮れカメラ」と同じ、人生の、精神のぎりぎりにたっている状況。迷い、葛藤しながら毎日を送っています。目に見えない何かにおびえながら生きている彼女には、たまにはこんな幻想的な手品師との日々が必要なんだなって感じました。椅子と椅子の上をジャンプしていた主人公の脚がとまらなくなった場面は、またまた、ぷぷぷっと笑ってしまいました。

全体的に、再生の物語りという気がします。

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『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

買ったきっかけ:
このミスにもランクインしたり、文庫化において帯に「やられた」と書いてあったりして、ものすごーく気になっていた作品。

感想:
あらすじ・・・大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。--------------

すごい!!すごいです!!最初に読んだ時は、1980年代を背景にした、うぶなカップル(夕樹と繭子)の純愛ストーリィだと思いつつ、ああ、遠距離恋愛って辛いよねーなんて感じていたら、最後の二行で「えええ!? えっと??」ってなり、急いでパラパラと最初からいろいろ確かめていきました。

なんてゆうかすごかったです!ここに出てくるマユは、小悪魔系??びっくりです。
時系列を頭の中でまとめてみると、確かに全部が繋がるんですよねー!!こんな危ない綱渡り的な恋愛をするマユよ、おそるべしです。
たっくん(B面の彼)と思いっきり体の関係があるのに、たっくん(A面の彼)の前では処女を演じきったり、たっくんというあだ名を考える事とか、煙草と妊娠とか、
驚くべきことばかりでした。
・・・なんてゆうか、今時??の女の子の中にはこうゆう風にして自分なりの「安定・幸せ」を求めていく人がいるんでしょうか。そうは思いたくないですね。

イニシエーション→「通過儀礼」という事ですが、これじゃあ、いつも恋愛において不安になってしまいます。

ここにアイテムとして出てくる「男女7人夏物語」「秋物語」が個人的にはツボでした。懐かしい!!乾さんは私の中で注目の作家さんになりました。

おすすめポイント:
ハードカバー版の表紙ですが、いろんなヒントとなるアイテムがあります。
『煙草』、『カセットテープ』(裏と表が聞けます)、『二種類のコーヒー』。
いろいろ考えると、ゾクゾクします。

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

著者:乾 くるみ

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

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『はるがいったら』飛鳥井千砂

はるがいったら

買ったきっかけ:
第十八回小説すばる新人賞受賞作。という事と、装丁に描かれている犬の絵に惹かれました。図書館本。

感想:
想像していたよりも、断然良かったです。もちろん新人さんらしい初々しさ、瑞々しさはありましたが、それがとても心地よかった♪私自身、犬を飼っているので、この本はタイトルからして、「泣いてしまうかも」だったけど、大丈夫でした。老犬の介護については淡々と少し出てくるくらいで、これは姉と弟の成長物語だと思いました。姉、園(その)の完璧主義者ぶりが、「ああ、なんとなくわかる」「でも、疲れない?」と感じました。でも、毎日ボディケアを忘れないとか、ファッションはいつも完璧とか、憧れます。私も、何食わぬ顔をして、他人のファッションチェックとかしてみたい(^^;;;出来ないけど。
弟の行(ゆき)は、なにごとも淡々と受け入れてしまう性格、そしてそこが欠点だと自分で分かっているのですね。うーん。。こうゆう人間は、ストレスに強そうで憧れますが、なんとなく他の小説にも出てきそうな感じで感情移入はあまり出来ませんでした。とにかく、姉の園の会社での人間関係、暮らしぶり、幼馴染の恭司との報われない関係。。そちらが面白かったです。

おすすめポイント:
私の飼っている愛犬も、いつかは寝たきりで、水を飲むことも排泄行為も自分では出来なくなるんだな。。と切なくなりました。

はるがいったら

著者:飛鳥井 千砂

はるがいったら

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『読書の腕前』岡崎武志

読書の腕前 Book 読書の腕前

著者:岡崎 武志
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『読書の腕前』岡崎武志 光文社新書 ★★★★

第一章 本は積んで、破って、歩きながら読むもの

第二章 ベストセラーは十年後、二十年後に読んだほうがおもしろい

第三章 年に三千冊増えていく本との闘い

第四章 私の「ブ」攻略法

第五章 旅もテレビも読書の栄養

第六章 国語の教科書は文学のアンソロジー

第七章 蔵書のなかから「蔵出し」おすすめ本

と、七章で構成されています。岡崎さん流の読書法がつめこまれています。

私は、このような「本の本」的な読み物が大好きです。特に、今回の岡崎さんのように、積読をしていて、本の収納と闘っているお話とか読んでいて楽しいです。この本も、遅読の私にしては、一日でなんとか読んでしまいました。読んでいてとにかく楽しかったです♪

私も、一人の時間を楽しめる大人は素敵だと思います。仲間とワイワイ過ごすのもいいけれど、時にはゆっくりと自分一人の時間を持ちたいものです。

読書するのに、「理想の空間」は逆に落ち着かない というくだりは、共感でした。ある程度ごちゃっとした空間の方が、私も集中して読書できます。何故かはわからないけれど。

岡崎さんは、積読肯定派なので、積読しまくっている私としては「わあ、そんな考え方もあるのねー」と嬉しかったです。

岡崎さんはこの本の中で、「今こそ古本屋が安い時代はない」とおっしゃっていますが、本当にそうだなってかんじます。私は、2年近く、大型チェーン店の古本屋さんでアルバイトをしていたんですが、買取作業、値段をつける作業の時にいつも感じていたのは、「安いなー」という事でした。絶版になっているジャック・ヒギンズの本なんか、一冊80円で販売していました。千円あれば、古本屋さんをはしごしても、かなりの冊数の本が買えると思います。

詩集は、一時期私も好きで、「萩原朔太郎全集」や「石川啄木全集」が本棚にあります。最近あまり開いていないので、また読んでみたくなりました。

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