カテゴリー「05 奥田英郎」の2件の記事

『家日和』奥田英朗

『家日和』 奥田英朗 ★★★★☆

家日和

ネットオークションにはまる専業主婦。会社が倒産し、主夫となる営業マン。夫と妻。ちょっとずれていて、でも愛情がないわけでなく…。ずっと外にいた夫の王国か。ずっと家にいた妻の城か。ビター&スウィートな「在宅」小説。

漫画化もされている本作。読んでみてなるほど、と感じた。奥田作品には外れがない気がする。欲をいえば、一つ一つの作品を長編にして、読ませて欲しい。

ネットオークションで相手から褒められた事がきっかけでどんどんはまっていく主婦のお話、『サニーデイ』は、個人的にオークションなんてした事がないけど、なんとなく紀子の気持ちがわかる気がする。一生懸命出品物の写真を撮ったり、値段を設定したり、可愛いなあ。

『ここが青山』は、職を失った男性って、ここまで素直に開き直れるものなの??という感想。『家においでよ』は、すごく気持ちよかった。ガランとした淋しい部屋が、着々と趣味の部屋へと変わっていく過程にワクワクしちゃった。ラストも明るくて好き。『グレープフルーツ・モンスター』は、一番声を出して笑ってしまった作品。夢を見たいがために、お化粧をしたり、洋服を新調したり、相手の香水を嗅いだり、地味に変態ちっくな行動をする主婦の姿がとてもユーモラスに描かれてあって、そんなばかな、と思いながらも何回も笑った。『夫とカーテン』は、ちょっと頼りない旦那さんだけど、妻がそんな旦那さんをとても愛している事が伝わってきて、心がほんわかした。『妻と玄米御飯』は一番共感出来た。スローライフとか、ベジタリアンとか、憧れるけど、やっぱりお肉は美味しいんですよね。小説家の夫と、ロハスに目覚めた妻とのやりとりがおかしくてクスクスわらっちゃいました。

なんだかんだ言って、人間という生き物っていいよね、と思えた作品。

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『最悪』奥田英郎

最悪 (講談社文庫)

『最悪』奥田英郎 ★★★★★(満点!)

お先まっ暗、出口なし それでも続く人生か

小さなつまずきが地獄の入り口。転がりおちる男女の行きつく先は?

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
比類なき犯罪小説、待望の文庫化! -------------------------------------

文庫化されたみたいだけど、私はハードカバーで読みました。図書館本。これは私にとって、途中でやめる事の出来ない徹夜本になりました。難しい言葉とかは全く出てこず、すらすらと読んでいけます。

月曜の朝 から3人の物語りは始まるのですが、タイトル通り、少しの最悪~な状態から始まります。

町工場を営む川谷信次郎は、朝6時には起きて、部品の納入に行くため、トラックを走らせます。真向かいに建つマンションに音が響かないよう、エンジンをかけるのにも気を使っています。

銀行員の藤崎みどりは、雨の憂鬱な中、満員電車に揺られて、会社に向かいます。会社も憂鬱だけれど、腹違いの妹が非行に走っているのにも心を痛めています。

雨の月曜日に安堵感を感じるのは野村和也。無職。パチンコと、工場などからトルエン一斗缶を盗んだりして日々を暮らしています。

この3人が物語が進むにつれて、ものすごく最悪な状況になっていくのですが、一番共感したのは、町工場の川谷でした。向かいのマンションの太田婦人から、騒音の苦情が来て、川谷は自分なりに一生懸命防音をするんだけど、それでも苦情は収まりません。この太田婦人と、夫がとにかく嫌な人。でも、「こうゆう人いるかも」と思わせる人物でした。やがて市役所の環境公害課の人まで来る始末。 無言電話も始まり、従業員の松村は、おとなしく、すぐに無断欠席や職場放棄をしてしまいます。そんな中、銀行融資の話しが持ち上がり、新しく機械を導入する事にした川谷だが。。

銀行員の藤崎みどりも、すごく可哀相。ここで描かれる銀行という組織が、レクリエーションとかをするんだけど、いかにも!!という感じ。そこでみどりは上司から酔いにまかせて暴行されかけます。それを笑い飛ばせるようなみどりではなく、親友や信頼している上司に相談するのですが。。

野村和也は、パチンコ屋で知り合いになったタカオというチンピラとトルエンを盗みに入るのですが、ヤクザが絡んできてしまいます。

とにかくあれよあれよという間に、3人が最悪な状況へ追い詰められる訳だけど、ここは奥田さん、何故か笑ってしまう場面が沢山ありました。藤崎みどりが、心の中でどうして妹のめぐみがグレるんだ?母親と血がつながっていないのは私なのに!!とどんよりと思う場面や、和也とめぐみが銀行強盗として押し入った場面で、川谷がお金を離さなかったり、みどりが蒼白したり、どうしても吹き出してしまう面白さがあった。

ラストは、ちょっと出来すぎかなって思う所もあったけど、川谷、和也、みどり、めぐみの4人の行動がこれまたププッと笑ってしまうような感じでした。

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