『”文学少女”見習いの初戀』野村深月

『”文学少女”見習いの初戀』野村深月 ★★★★☆

“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)

聖条学園に入学した日坂菜乃は、ひとりの上級生と出会う。文芸部部長、井上心葉。彼に惹かれ、勢いで文芸部に入部してしまった菜乃だったが、心葉の胸には既にひとりの“文学少女”が宿っていた。まるで相手にされず、落ち込む菜乃。けれど、彼女がある事件に巻き込まれ、追い詰められたとき、心葉は告げる。「気づかないふりも、目をそらすことも、もうしないって誓ったんだ」―文学初心者の少女が物語に隠された真実を探す、もうひとつの“文学少女”の物語。

大好きな文学少女シリーズの外伝。本屋さんでたまたま見つけて、即買いました。もう、このシリーズにははまりにはまっちゃいました。なんていったって主人公が本を食べちゃうくらい本好きな少女なんですもの。普段はライトノベルってそんなに興味をそそられないのですが・・・。以前、西尾維新さんとかちらほら読んだかな。

今回は外伝という事で、残念ながら遠子先輩は登場しません。遠子先輩みたいな”文学少女”に憧れる、高校一年生の日坂菜乃ちゃんが主人公です。主人公が菜乃ちゃんに変わっても、陰のある人たちが登場するし、心をえぐられるような事件が起きます。シリーズの雰囲気は変わっていなくてホッとしました~。しかも、菜乃ちゃんは、とっても親近感のもてるキャラクターで、可愛らしいんです。

菜乃ちゃんは、入学前に校門の所で「先輩!」と叫びながら涙を流す心葉を見て、心が揺さぶられます。そして入学して、心葉のいる文芸部に入部して、告白をします。以前から思っていたけど、心葉君ってもてすぎではないですか?(笑)。クラスメートで美少女の琴吹さんとか・・・。今の時代って、心葉君のような母性本能をくすぐるような男子が人気あるのかな?心葉の菜乃ちゃんに対する態度はとっても冷たいものなんですが、それでも一生懸命な菜乃ちゃん。そんな菜乃ちゃんを放っておけなくて、心葉も一緒に推理(想像)をする事になるんです。今回のベースになっている本は「曽根崎心中」。「曽根崎心中」を読んで、感想を文学少女っぽく菜乃ちゃんは言ってみるんですが、心葉に読みが浅いと言われて、菜乃ちゃんは図書館にいって曽根崎心中について調べようと思うんです。そこで、とても甘い香りを放つ、松本なごむという女の子とお友達になります。なごむは、とっても綺麗なんだけど、どこか淋しそうで、心中に憧れているんです。自分のホームページにも「心中相手募集」とか書いちゃうくらい。

謎解きの所は、読んでいて苦しかったですね。純粋な恋心。肉欲に負けてしまう心のおろかさ。歪んだ尽くし方をする女。・・・心葉君の想像は、遠子先輩には及ばないものの、なかなか核心をついていてすごいな、と感心です。成長しましたね~。ぐずぐず泣いているだけの彼とは違ってきています。これは、もう少し続編が出るみたいなので、今からとっても楽しみです。

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『中二階』ニコルソン・ベイカー

『中二階』ニコルソン・ベイカー ★★★☆☆

中二階 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

中二階のオフィスに戻る途中のサラリーマンがめぐらす超ミクロ的考察―靴紐はなぜ左右同時期に切れるのか、牛乳容器が瓶からカートンに変わったときの感激、ミシン目の発明者への熱狂的賛辞等々。これまで誰も書かなかったとても愉快ですごーく細かい注付き小説。

とても変わった構成のお話しでした。普通、注釈って、多くても2~3行だと思うんですが、本書に限っては、注釈がすっごく長くて、その注釈がすでに小説みたいじゃないか~という感じなんです。しかもその内容がすっごく細かい。読んでいて「ある!!それある!」の連続でした。いや~、考える事って、住む国が違っても結構同じなんですね。岸本佐知子さんが訳をしているのもすごく納得です。こんな奇妙な物語りを上手に訳されるのは、きっと岸本さんしかいない気がします。岸本さんといえば、今度エッセイを読んでみたいんですよね。面白いと評判なので。この主人公はビルの中二階にあるオフィスで働いていて、そこを出て、また戻ってくるというだけのお話(笑)。その時の主人公の頭の中をめぐるっている物事へのお話です。プラスチックのストローはあまり好きではないけど、首がジャバラ状になっているのだけは、最後まで愛着を捨てる事が出来なかったとか。同じ日に、両方の靴紐が切れるという驚きは、階段の一番上まで登ったのに、まだもう一段あると思い込んで床にはげしく足を打ちつけた時と同じくらいだ、とか。そして、紐のどの部分に毎回力が入って切れてしまったのだろう?とか、こまかーく考えていくんです。細かくて、ちょっと小心者の主人公なんですが、共感する事が多くて、くすくす笑ってしまう部分もありました。こうゆうお話しを書いちゃうってすごいな~。しかも、翻訳までされてるし(笑)。

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『また会う日まで』ジョン・アーヴィング

『また会う日まで』上下 ジョン・アーヴィング ★★★★☆

また会う日まで 下 また会う日まで 上

父ウィリアムは教会のオルガニスト。体じゅうにバッハやヘンデルの楽譜を彫りこんだ刺青コレクターでもあり、弾き応えのあるオルガンと腕のいい彫師に吸い寄せられるように、北欧の港町を転々としていた。母アリスは、幼いジャックの手をひいて、逃げたウィリアムの後を追う。コペンハーゲン、ストックホルム、オスロ、ヘルシンキ、アムステルダム…。街々の教会信徒と刺青師のネットワークに助けられ、二人は旅をつづけるが、ついに断念。トロントに落ち着く。父を知らないジャックは、「女の子なら安心」という母の信念のもと元女子校に入学し、年上の女たちを(心ならずも)幻惑しながら大きくなってゆく―。現代アメリカ文学最強のストーリーテラーによる怒涛の大長篇。

長かった~。ひたすらページをめくっていたという感じでした。これは、桜庭一樹さんの読書日記で存在を知ったんですけど、読書家の桜庭さんが「読み終わらない」と書いてらっしゃった意味がひしひしと分かりました。上巻はわりと時間がかかりながらもさらさらと読めたんですが、下巻の最初の方がなんだか眠たくなっちゃって(汗)。

だけど、長いだけあって、読了後は感激が胸にしみじみと湧き上がりました~。ちゃんと長くなるだけの理由があったのです。上巻ではいろんな街を次々と逃げていく父親を追って、母親と旅をするジャック・バーンズですが、途中でもう父親の後を追うのはあきらめて、一ヶ所に落ちつくんですが、その時に入学した学校が、女性だらけの学校で、ジャックは、身体的にも肉体的にもいろんな意味で年上の女性から性的な事を教えられます。女たらしだった父親の息子なので、血は争えず、女たちがジャックを放ってはおかないんです。その女性関係ですが、ちょっと性的虐待っぽいのもあるんですが、本書は著者・ジョン・アーヴィングの自伝的小説となっているので、アーヴィングが幼い時にうけた性的トラウマのエピソードからきているみたい。その女性の中の一人にエマという少女が登場するんですが、このエマだけは特別。生涯、ジャックにとっての一番の親友となります。エマとジャックは、軽いキスや触りあうくらいはするんですが、一度も性的関係にはいたりません。エマにはある悩みがあったのです。その悩みのせいでエマは亡くなってしまうんですが、亡くなった後もジャックにいろんな物を残していてくれているんです。ジャックの事がものすごく大切だったんでしょうね。

下巻では、ジャックの母親・アリス(刺青師 あだ名はお嬢アリス)も亡くなってしまうんですが、そこで初めてジャックは知る事になります。幼い時にアリスから聞かされていた父親像と本当の事は違うかもしれないということに。。そこでジャックはセラピストと一緒に自分の過去を順を追って振り返る作業に入るんです。この辺りでかなり睡魔にやられました。挫折しそうでした(^^;;;。

で、父親を探して会う事になるのですが・・・。父親との再会のシーンは、もうウルウルとなりました。ジャックの父親は、刺青に魅せられていて、体中に刺青を彫っているんです。その刺青のせいですっごく体が冷えるんです。だから、夏でも、いつでも長袖長ズボンという格好なのです。ジャックが再会した時の父親・ウィリアムは、精神的な病気になっているんですが、どれだけジャックを愛しているかがすっごく伝わってきて、いいんです~。その精神的な病も、理解出来る気がするんですよね、純粋な心ゆえの神経質さというか。。ある特定の言葉を言ったり聞いたりすると、どんな場所でも全裸になって自分の刺青を隅々まで見ないといられない状態になるんですが、それに必死に対抗しようとする父親や、周りの人々の奮闘がなんだか可笑しくて思わずかわいいなんて感じちゃうほど。

とにかく長い本なのですが、これを読みきった事で、大長編も読めるんだ~と、少し自信がつきました。ぼちぼちアーヴィングの作品を読んでいきたいです。まずは『ガ-プの世界』からかな。

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図書館で借りた本。

Photo 図書館に行って来ました~♪

+借りた本+

『決壊』上下 平野啓一郎

『迷宮の将軍』ガルシア・マルケス

         『ソーネチカ』リュドミラ・ウリツカヤ

         『カニバリストの告白』デヴィット・マドセン

         『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』石田衣良

         『ベーコン』井上荒野

         『配達あかずきん』大崎梢

         『ムギと王さま』ファージョン作・石井桃子訳

         『銀座八丁目探偵社 本好きにささげるこだわり調査録』北尾トロ

  合計10冊。満杯借りてきました。今回は児童書を読んでみたくなって、ファージョンの『ムギと王さま』を借りてきました。寝る前にちょっとずつ読んでいこうとワクワクしています。『カニバリストの告白』は、桜庭さんの読書日記で興味を持った作品。『ソーネチカ』は、本の虫の少女が登場するらしく、気になっていた作品です。

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『雪の断章』佐々木丸美

『雪の断章』佐々木丸美 ★★★★☆

雪の断章 (創元推理文庫)

迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。二年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝杷祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが…。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。

最近になって次々と復刊されている佐々木作品。デビュー作も文庫化したようです。
「崖の館」で、すっごい佐々木さんのファンになりました。
だけど、この文章は、好き嫌いがかなりはっきり分かれるだろうなとおもいます。
かつて少女だった大人は、なんだか懐かしく、切なく読めると思います。
私はこうゆう少女趣味っぽい文章、好きです。といっても、最初はこの世界に入り込む事が出来ずに、何回か挫折しそうになったんですが、途中からは一気読みでした。

孤児の倉折飛鳥は、5歳の時に孤児院から本岡家という裕福な家庭に引き取られるんですが、そこですさまじいイジメにあいます。飛鳥は、涙を堪えて耐える・・よりも、我慢の限界が来て、本岡家を飛び出してしまいます。寒い雪の降る中、たった一人で立ち尽くす少女。。胸が苦しかったです。そこで、滝杷裕也と出会い、祐也に育ててもらう事になります。飛鳥は、自分は孤児であり、幼い頃、すごく本岡家の人たちに虐げられたという事から、頑固で、自分の心をあまり他人に見せないようになります。

もう、読んでいて、じれったかったです。
もっと言いたい事をはっきり言っても大丈夫なんだよ と言いたくなります。途中で、殺人事件が起きるんですが、そのトリックは結構普通です。トリックうんぬんよりも、飛鳥とその育ての親の祐也さんとの恋物語りですね。読んでいて胸がきゅんきゅんとしました。後、佐々木作品には、知らないうちに同性相手に嫉妬するあまり、意地悪をしてしまう人が出てくるな、と思います。こうゆう人って、思春期の頃に遭遇したりすると辛いだろうなー。本書では「トキさん」ですね。これの姉妹作があるそうなので、そちらも読みたいです。

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